「他の女がどうとか、そんなことはどうでもいい。俺はエイミに結婚して欲しいと思っている。エイミの返事が聞きたい」
「で、でも、私、シェリンに怪我をさせてしまったし……母親になんて、とてもなれないです」
「……さっき、シェリンを守るために、ためらいもなく素手で熱い鍋を持ち上げたお前を見て、子供達の母にふさわしいのはお前しかいないと思ったのだ」
ジークはエイミの前で膝をついた。そして、ぐるぐるに包帯が巻かれた彼女の手にそっと唇を寄せた。
怖い顔ではあるが、こういう仕草がさまになるあたり、やはりジークは貴族なのだとエイミはおかしなところで関心してしまう。
自分の人生にはおとずれるはずがないと思っていたシチュエーションだったので、なんだか現実感が薄いのだ。
「エイミ。どうか俺と結婚して、子供達の母親になって欲しい」
「よ、よろしくお願いします!」
それだけ言うのがエイミの精一杯だった。
ジークは白い歯を見せて、くしゃりと笑った。こういう顔をすると、年相応の若者に見えるのだなと、エイミはまた、少しずれたことを考えていた。
幸せというものに不慣れ過ぎて、浸ったり、噛みしめたりということが上手くできないのだ。
「で、でも、私、シェリンに怪我をさせてしまったし……母親になんて、とてもなれないです」
「……さっき、シェリンを守るために、ためらいもなく素手で熱い鍋を持ち上げたお前を見て、子供達の母にふさわしいのはお前しかいないと思ったのだ」
ジークはエイミの前で膝をついた。そして、ぐるぐるに包帯が巻かれた彼女の手にそっと唇を寄せた。
怖い顔ではあるが、こういう仕草がさまになるあたり、やはりジークは貴族なのだとエイミはおかしなところで関心してしまう。
自分の人生にはおとずれるはずがないと思っていたシチュエーションだったので、なんだか現実感が薄いのだ。
「エイミ。どうか俺と結婚して、子供達の母親になって欲しい」
「よ、よろしくお願いします!」
それだけ言うのがエイミの精一杯だった。
ジークは白い歯を見せて、くしゃりと笑った。こういう顔をすると、年相応の若者に見えるのだなと、エイミはまた、少しずれたことを考えていた。
幸せというものに不慣れ過ぎて、浸ったり、噛みしめたりということが上手くできないのだ。



