その日の夕食の席でのこと。
 シェリンはすっかり元気を取り戻し、エイミに笑顔を向けてくれた。

 アルからはたっぷりの嫌味か厳しい叱責を受けるだろうと覚悟していたのに、「火傷、ひどいんだって? 怪我が治るまでは無理しなくていいよ」などと、彼らしくもない優しい言葉をかけられて、エイミはかえって困惑してしまった。

 ジークは夕食の間中、難しい顔をしていた。

 エイミはシェリンに怪我させてしまったことを謝りたかったが、とても話しかけられる雰囲気ではなかった。

 食事を終え、食器を下げようとしていたエイミにジークが声をかける。

「エイミ。大事な話がある。悪いが、この後俺の部屋に来てくれるか」
「……はい」

 薄々覚悟はしていたが、やはりショックだった。だけど、当然の結果だろう。

(養子とはいえ、仕える主の子供に怪我をさせてしまったんだもの。クビになるに決まってるわ)

 エイミは悲壮感たっぷりの顔で、ジークの部屋をたずねて行った。

 三つ子達はベッドの上で、キャッキャッとはしゃいでいた。が、シェリンの足に巻かれた包帯が痛々しい。

「あの、ジーク様。シェリンに怪我をさせてしまったこと、本当に申し訳ありませんでした。熱い鍋を子供のそばに置くなんて、言い訳のしようもありません」

 エイミは深々と頭を下げた。