エレナはぽっと頬を染め、恥ずかしそうにうつむいてしまった。
「ですが……こんな黒い髪で……」
エレナはこの国では珍しい黒い髪をしていた。そのために、少し婚期が遅れていたのだ。
ナットは彼女の黒髪に心から感謝している。彼女が黒髪でなければ、とっくに他の男のものになっていたことだろう。
そう正直に話してやると、エレナははにかむような愛らしい笑みを見せた。
「では、私もナット様と出会わせてくれたこの髪に感謝することに致します」
「うん。それにな……」
「それに?」
エレナに続きをうながされて、はたとナットは気がついた。この先は……黙っておくべきだろうか。
ちらりとエレナを見ると、彼女はニコニコとナットを見つめている。
「聞いても怒らないか?」
「えっ……はい。ナット様に怒るなど」
「そうか。実はな、初恋の#女性__ひと__#もエレナのような美しい黒い髪をしていたんだ」
懐かしい彼女を思い出しながら、ナットは言った。結婚式には来てくれることになっているから、久しぶりの再会が楽しみだった。
「ん? どうした、エレナ……」
先程までニコニコしていたエレナの顔から笑みが消えていることに、ナットはようやく気がついた。
彼女の小さな身体は小刻みに震えている。
「ナット様。世の中には言わなくてもいいことがあるって、ご存知なかったかしら?」
「えっ……でも怒らないって……」
「えぇ、もちろん。私はちっとも怒ってはいませんわ」
「いや、あの……」
結婚式までになんとか許してもらったものの、結婚式でエイミに対面した彼女はまた機嫌を損ねてしまい……「世の中には言わなくてもいいことがある」という真理をナットは痛感したのだった。 fin
「ですが……こんな黒い髪で……」
エレナはこの国では珍しい黒い髪をしていた。そのために、少し婚期が遅れていたのだ。
ナットは彼女の黒髪に心から感謝している。彼女が黒髪でなければ、とっくに他の男のものになっていたことだろう。
そう正直に話してやると、エレナははにかむような愛らしい笑みを見せた。
「では、私もナット様と出会わせてくれたこの髪に感謝することに致します」
「うん。それにな……」
「それに?」
エレナに続きをうながされて、はたとナットは気がついた。この先は……黙っておくべきだろうか。
ちらりとエレナを見ると、彼女はニコニコとナットを見つめている。
「聞いても怒らないか?」
「えっ……はい。ナット様に怒るなど」
「そうか。実はな、初恋の#女性__ひと__#もエレナのような美しい黒い髪をしていたんだ」
懐かしい彼女を思い出しながら、ナットは言った。結婚式には来てくれることになっているから、久しぶりの再会が楽しみだった。
「ん? どうした、エレナ……」
先程までニコニコしていたエレナの顔から笑みが消えていることに、ナットはようやく気がついた。
彼女の小さな身体は小刻みに震えている。
「ナット様。世の中には言わなくてもいいことがあるって、ご存知なかったかしら?」
「えっ……でも怒らないって……」
「えぇ、もちろん。私はちっとも怒ってはいませんわ」
「いや、あの……」
結婚式までになんとか許してもらったものの、結婚式でエイミに対面した彼女はまた機嫌を損ねてしまい……「世の中には言わなくてもいいことがある」という真理をナットは痛感したのだった。 fin



