継母がこんなに幸せでいいのでしょうか!?村一番の嫌われ者だったのに、三つ子たちとコワモテ公爵に溺愛されて困惑中です

「はぁ!?」

 話を聞いたナットは驚きのあまり、口からスープを吐き出しかけた。隣のリーズがあわててナットの口を塞いでいる。
 ごくり、と、スープをなんとか飲み込んだナットが口を開く。

「いや、なにかの間違いじゃねぇ?ぼんやりとしか記憶ないけど、母さん、そんないいとこのお嬢さんて感じじゃなかったもん。貧乏だったし」
「金も力もない男と駆け落ちしちゃったみたいだからね」

 アルが解説する。

「父親の話はしてくれたことなかったな……」
「まぁ、駆け落ちなんてのは、大半がバットエンドを迎えるものさ」
「だいたい、ティアナなんて名前じゃなかった。俺の母さんは、アンナだ」
「伯爵はしばらくの間は血眼になって娘を探したそうだから。見つかりたくなきゃ、本名は隠すだろうよ」

 アルにそう言われても、ナットはいまいち信じきれないようだ。