継母がこんなに幸せでいいのでしょうか!?村一番の嫌われ者だったのに、三つ子たちとコワモテ公爵に溺愛されて困惑中です

 ピンクの世界に取り残されたエイミとジークは唖然とするばかりだ。

「見てください、ジーク様! このお酒もピンク色です」

 エイミはテーブルのうえに置かれていたボトルを手に取り、ジークに見せた。

「ウエルカムドリンクか。芸が細かいな、あいつは」
「でも、せっかく用意してくださったのだから飲みましょうか」

 エイミがグラスを手渡すと、ジークもうなずいた。

「うむ。そうするか」


「ふっ、ふふっ、ふふふ」

 エイミはピンク色のガウンに身を包んだジークを前にして、必死に笑いをこらえていた。いや、こらえきれていなかった。

 野生の狼がふわふわのピンクの毛布に包まれているようなものだ。あまりにも可愛すぎる。

「そんなにおかしいか?」

 ジークはピンクのガウンの裾を持ち上げ、首をかしげた。

「いえいえ。とっても可愛くて。ふふっ」

 せっかく用意してくれたのだからと、似合わぬものを無理して着ている彼の生真面目さも愛おしい。

「エイミはピンクがよく似合うな」
「そうですか?」

 ジークとお揃いが嬉しくて、エイミも用意されていたガウンを着こんでいた。気味の悪い黒髪に可愛い色は似合わないとよく言われていたから、エイミもピンクなど着ることはほとんどなかった。
 でも、本当はこういう女の子らしい色合いの洋服にあこがれていたのだ。