継母がこんなに幸せでいいのでしょうか!?村一番の嫌われ者だったのに、三つ子たちとコワモテ公爵に溺愛されて困惑中です

 昼間の旅装のままのゾーイはなんとかなっても、夜着姿のエイミがロープを頼りに下に降りるなんて到底無理だろう。だが、ゾーイはそういったことには思慮が及ばない性質だった。

「えーっと」

 どこからつっこんだらいいのか、エイミは言葉が出てこなかった。
  
 そのとき、ふたりの後ろから、ゴホンゴホンというややわざとらしい咳払いが聞こえてきた。ふたり揃って、部屋の奥を振り向く。

「ジーク様! いつのまに!」

 寝室の扉の前にジークが立っていた。

 ジークはゾーイに向かって話し出した。

「誰にも見つからずにと思うなら、もう少し物音を立てずにことを進めなければ。ガタガタと大きな音がするから、外をのぞいたらお前がこの部屋に向かって壁をよじのぼっているのが見えた」
 
 ゾーイはバツが悪そうにちっと舌打ちして顔を背けた。

「それからな……」

 ジークは言いながら、ゆっくりとふたりに近づいた。そして、ゾーイの前で立ち止まると、ジロリと彼を睨みつけた。