継母がこんなに幸せでいいのでしょうか!?村一番の嫌われ者だったのに、三つ子たちとコワモテ公爵に溺愛されて困惑中です

「無理やりこんなところに連れてこられたんだろう。 俺と帰ろう。そして、結婚して幸せに暮らすんだ!」

 エイミは絶句した。

 ゾーイは頭をどうかしてしまったんだろうか。つい先程、ジークと結婚したのだと話したばかりなのに。彼の耳はなんのためについているのか。

「いいから急げ! 今なら誰にも見つからずに城を出られる」

 ゾーイは少しだけ開いていた窓を大きく開け放つと、ぐいとエイミの腕を引いた。
 薄い夜着姿のエイミに秋の冷たい夜風が容赦なく吹きつける。

「さ、寒っ」

 思わず顔をしかめたエイミにはまったく頓着せず、ゾーイはどこかうきうきしたような口調で言う。

「ほら、俺が支えててやるから下に降りよう」

 ゾーイの視線の先には、バルコニーから垂らされた頑丈なロープが一本。どうやら彼はこれを命綱に壁を登ってきたらしい。