継母がこんなに幸せでいいのでしょうか!?村一番の嫌われ者だったのに、三つ子たちとコワモテ公爵に溺愛されて困惑中です

 そんななかで、空気を読まない男がひとり。ゾーイだ。

「よっしゃっ! いま、助けに行くからな~。待ってろよ、エイミ」

 とらわれのお姫様を助けに行く勇者に、彼はすっかりなりきっていた。シチュエーションに酔っているだけとも言える。

 当のお姫様が助けを求めているかどうかなんて、いまのゾーイには些事でしかない。

「さぁ、どうぞ。中で、ハットオル公爵がお待ちです」

 アルが城門を開け、領民達を城の中へと誘導する。ゾーイは横目でちらりとアルを見ると、ふんと鼻を鳴らした。

(ものすごい美形だけど……俺だって負けてない! いや、俺のほうが品の良さとか器の大きさとか、そういうものがにじみ出てるはずだ)

 気を取り直したゾーイが顔を上げると、目の前には見上げるほどの背丈の男が、仁王立ちでこちらを睥睨していた。その眼光は鋭く、周囲の男達はみな縮み上がってしまい、金魚のように口をパクパクとさせている。