「あ、でも女の人もいるのかなぁ……。堤防工事だからみんな男の人? って、私ってなんて性格が悪いんだろう~」
女性にはジークの魅力を隠しておきたい。などというくだらない葛藤でエイミが苦しんでいる間に、領民達は着々と城に近づいていた。
その中に懐かしいような、思い出したくないような相手の顔が紛れ込んでいるなどとは、エイミは想像もしていなかった。
濃灰色の曇天に向かってそびえ立つ、堅牢な城を前にして、領民達は一様にがくりと肩を落とした。残虐な悪魔が住まうにふさわしい、おどろおどろしい城だと誰もが感じていた。
「はぁ……俺の人生もここで終わりか。もうすぐ子供が生まれるっていうのになぁ」
「せ、せめて楽に逝かせて欲しい」
「いや、でも俺らがここで死んだら誰が堤防工事をするんだ? 案外、見逃してもらえるのかも」
誰かの前向きな意見は、別の誰かに否定される。
「馬鹿か! 俺らみたいな平民はいくらでも補充がきくんだよ。牛馬と一緒さ」
その一言には説得力があった。
一瞬にして、場ががしんと静まり返る。まるで葬式のようだ。みなが暗い顔で、むっつりと黙り込んでいる。
女性にはジークの魅力を隠しておきたい。などというくだらない葛藤でエイミが苦しんでいる間に、領民達は着々と城に近づいていた。
その中に懐かしいような、思い出したくないような相手の顔が紛れ込んでいるなどとは、エイミは想像もしていなかった。
濃灰色の曇天に向かってそびえ立つ、堅牢な城を前にして、領民達は一様にがくりと肩を落とした。残虐な悪魔が住まうにふさわしい、おどろおどろしい城だと誰もが感じていた。
「はぁ……俺の人生もここで終わりか。もうすぐ子供が生まれるっていうのになぁ」
「せ、せめて楽に逝かせて欲しい」
「いや、でも俺らがここで死んだら誰が堤防工事をするんだ? 案外、見逃してもらえるのかも」
誰かの前向きな意見は、別の誰かに否定される。
「馬鹿か! 俺らみたいな平民はいくらでも補充がきくんだよ。牛馬と一緒さ」
その一言には説得力があった。
一瞬にして、場ががしんと静まり返る。まるで葬式のようだ。みなが暗い顔で、むっつりと黙り込んでいる。



