「リーズに縁談の話をもらったんだ。先日の結婚パーティーに来てくれた客のひとりで、王都に屋敷をかまえるバーティ男爵という方だ。彼が息子の嫁にリーズをどうかという話が出たんだ」

 ジークはバーティ男爵について、リーズに語って聞かせた。

  身分はさほど高位ではないが、商売上手で、王都にある屋敷はとても立派なものなのだそうだ。なにより、バーティ男爵夫妻の人柄の良さは折り紙付きなのだそうだ。

 夫人のほうがパーティーでリーズを見て、息子に是非との話だった。

「彼らの息子なら、きっと優れた人物だと思う。とにかく、まずは、リーズ本人の意向を聞いてからと思っていたのだが……」

 エイミとの新婚生活にかまけて、すっかり忘れていたのだ。ジークはリーズにすまないと侘びた。

  アルはふふんと馬鹿にしたように笑う。