私の考えた味をわかってくれる人がいたんだって思ったら、私は嬉しくなってルンルンで紅茶の用意をした。
ケンカしないようにって作ったから、みんながおいしいって食べてくれるだけで嬉しかった。
でも…そういうこっちの気持ちに気づいてくれる人がいるって、素直に嬉しかった。
「お前なぁ…せっかく作ってくれたんだから
それに合う飲み物飲まなきゃ失礼だろー」
茶葉を蒸してる間、そんな声が聞こえてきて
私は思わずその会話に入った。
「いいんですよ。
クッキーにカフェオレも、そこまで変じゃないじゃないですか」
「そりゃこれがバタークッキーだったら別にいいけど
わざわざ茶葉を細かくして混ぜ込んでるのに。
その手間とか、そうしようって決めた優奈ちゃんの気持ちとか少しは考えてやれよなー。
それじゃお前、羊羹にコーヒー合わせてるようなもんだろ!」
「や、それはちょっと言い過ぎでは…」
さすがに羊羹にコーヒーまではいってないと思うんだけど…
「いーや!そんなことねぇよ!
だってちゃんと考えてる優奈ちゃんに失礼じゃねぇか!」
そういう伊藤先輩に対して、理玖先輩はなにも発しなかった。
クッキーを食べる手も、カフェオレを飲む手も止まったままだった。
「…ありがとうございます。
はい、ミルクティーできましたよ」
「おぉ、さんきゅ!」
素直に、伊藤先輩が気づいてくれたことにも嬉しいし
そこまで言ってくれる伊藤先輩の気持ちも嬉しかった。
…でも、理玖先輩も彼女を強く想い続けてるから
理玖先輩にとって、私よりも彼女を優先したいだけだから。
ただの後輩に、それを邪魔する権利なんてないんだから…


