「いつ戻ってくるかとか、全然わからないんだけど
でも、ここで待ってるって旅立つ日に約束したから」


そう愛しそうにいう先輩に、私はなにも言えなくなってしまった。


そんなことも知らずに、先輩に会いたくてここに来た私がバカみたいで

先輩は彼女に会いたくてここにきてただけなのに
そんなことも知らずにここで先輩に会って喜んでた私は

バカすぎて、本当嫌になる


「じゃあ、カフェオレが好きなのは先輩じゃなくて
先輩の彼女なんですね」

「……うん」


はは、本当嫌になる。

…なんだよ、私…
私の作るカフェオレが好きとか、そんな言葉に喜んで…

ただ、彼女の趣味だっただけじゃん


…バカみたい。


「……マスター帰ってくるので片づけますね」


私はそういって、自分が飲んだミルクティーと、食べたケーキの空皿をシンクに入れ、先にお金をレジに入れた。


「あ、お金」

「いいです。今日は私が出す約束だったので」

「や、でも俺も…」

「本当に大丈夫ですから」


私はそれだけ言って、シンクの食器を洗い始めた。
普段、先輩がいるときは絶対そんなことしないけど…

でも、こぼれてしまいそうだったから
目から、なにかがこぼれてしまいそうだったから

私は先輩に背中を向けて、お皿を洗った。