私たちは肩をならべて、私の家に向かって歩いた。
…なんていうか、
今日、お店行ってよかったぁぁ!!
先輩に会えたし、2時間も勉強教わっちゃったし、帰り道まで一緒なんて…
神様、ありがとう!!
「優奈ちゃんと歩くの初めてだね」
「あ、そうですね。
いつもお店でしか会わないですもんね」
「…俺も、こんな風に女の子と歩くの久しぶりすぎてなんか照れるわ」
えっ…それって…
「理玖先輩も、彼女いないんですか…?」
「んー、まぁいるにはいるんだけどね」
……ガーン。
ま、まぁそりゃそうだよな…
いるよね、彼女くらい…
だってかっこいいもん…優しいもん…
「でもあんまり会えないから、こうやって歩くのは久しぶり」
「え…?
会えない、んですか?」
「うん。高校卒業して、海外行っちゃったから」
…年上って、こと?
先輩、年上が好きなんだ…
「…そんなに遠距離じゃ、会えないですよね…
寂しくないですか?」
「んー、今はそんなに寂しくないよ。
もう慣れちゃった」
そういう先輩の笑顔は、やっぱりどこか寂しそうだった。
そりゃ、そうだよね…
好きな人が会えないなんて…私なんて、今日ですら会いたくてお店に行ったのに…
「…そんなの、慣れないでください」
「え?」
「寂しいです。好きな人に会えないのは」
きっと、先輩も本当は慣れてないんだよね。
寂しさ隠してるだけで。
…わかってる。わかるよ…


