17時、カフェオレ。




「駅前のシティホテルですよ」

「……え?」

「…私ですら知ってるんです。
好きなら、少しは知ろうとしたらどうですか」

「…どうして」


俺がそう聞くと、優奈ちゃんは俺に向かってため息をついた。


「そんな理由聞いてる暇あったら、向かったらどうですか?
本当にいなくなっちゃいますよ。
走ればまだ間に合うと思いますよ」

「え、あぁ…」

「…好きなら、少しくらい向き合ってください。
先輩の彼女に。逃げてないで」


俺はその言葉に、自然と立ち上がっていた。
見送りに行ったって、きっと来なくていいって言われるだけだと思う。

…でも、今のままでいいなんて、思ってないから…


「頑張ってくださいね」


その、優奈ちゃんの笑いきれていない、複雑な表情を見たら
なんか優奈ちゃんが放っておけないって思ったけど

…でも、このままってわけにはいかないから


「ごちそうさま」


俺はお金を置いて、荷物を持って店を出た。


駅なら走れば10分もかからない。
俺は必死に走って駅まで向かった。