「駅前のシティホテルですよ」
「……え?」
「…私ですら知ってるんです。
好きなら、少しは知ろうとしたらどうですか」
「…どうして」
俺がそう聞くと、優奈ちゃんは俺に向かってため息をついた。
「そんな理由聞いてる暇あったら、向かったらどうですか?
本当にいなくなっちゃいますよ。
走ればまだ間に合うと思いますよ」
「え、あぁ…」
「…好きなら、少しくらい向き合ってください。
先輩の彼女に。逃げてないで」
俺はその言葉に、自然と立ち上がっていた。
見送りに行ったって、きっと来なくていいって言われるだけだと思う。
…でも、今のままでいいなんて、思ってないから…
「頑張ってくださいね」
その、優奈ちゃんの笑いきれていない、複雑な表情を見たら
なんか優奈ちゃんが放っておけないって思ったけど
…でも、このままってわけにはいかないから
「ごちそうさま」
俺はお金を置いて、荷物を持って店を出た。
駅なら走れば10分もかからない。
俺は必死に走って駅まで向かった。


