―――カランカラン、
17時の鐘とほぼ同時に、またこのドアは開いた。
「いらっしゃいませ」
その言葉に挨拶はもちろん返ってこない。
理玖先輩含め、他のお客さんは挨拶してくれるんだけどね…
「彼と同じものを」
これだけを、目も合わせず頼まれるだけ。
「かしこまりました」
ま、店員と客なんて、そんなもんなんだろうけどね。
ただただ常連さんが多いから、違和感を感じちゃうだけ。
彼女を見る先輩の顔が本当に嬉しそうで、幸せそうで
幸せ願ってるくせに、胸がしめつけられて見ていたくなくて
本当私はどうしようもないな。
「お待たせしました。カフェオレです」
私は彼女さんにもカフェオレを差し出したら、また紅茶のところへと戻った。
ちょっと蒸しすぎちゃったかなー…?
―――カランカラン、
いつもならもう他に誰も来ない時間帯に、またこの店のドアは音を鳴らした。
「よっ」
来たのはもちろん、伊藤先輩だった。
「先輩!いらっしゃいませ。
今ちょうど新しい紅茶淹れたとこだったんです」
「まじ!?超いいタイミング!」
…はは、うるさいなぁ。
本当、ここの空気が壊れて…助かるよ、先輩。
「え、もしかして将人くん?」
そういって私たちの会話に割り込んできたのは
もちろん、理玖先輩の彼女さんだ。
「……どうも」
うわっ、愛想悪…
いつもの元気はどこいったの、先輩…


