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────ブーッ、ブーッ、
「……、ん」
────ブーッ、ブーッ
「……んん、だれ…、」
────ブーッ、ブ、
「は、」
《あ、やっと出た浅岡》
プー…プー…
「……寝よ、」
────ブーッ、ブーッ、ブ、
「……浅岡ではありません」
《うん、浅岡。ごめん、今、家の前にいる》
「それは気のせいです……」
《気のせいじゃない。鍵開けて、いれて、》
「強盗反対……」
《身体起こすのしんどかったらごめん。けど鍵開けて、おねがい、がんばって浅岡》
眠りに付いてから何時間が経ったのだろう。
鳴り止まないバイブ音で目が覚めた。
相手の名前を見ないまま通話ボタンを押すと、1番会いたくなかった相手の声がした。
思わず切ってしまったけれど、すぐに折り返しの電話がかかってきた。
───どうも、志葉は今 この家の前にいるらしい。
寝る前よりは身体のだるさは軽減したけれどそれでもまだ身体は熱い。部屋の明るさ的にもまだお昼前後だと思われる。
ああ、私はまだ夢の中なんだ。
だからこんな時間に志葉が来ているんだ。
だってまだお昼だ。本来なら学校に行っている時間。
お弁当を食べた後、残り3つ授業があるはずなんだ。
状況もよく分からないまま重い身体を起こし、部屋の窓から外を覗くと、そこには確かに、白いワイシャツが相変わらず良く似合う志葉の姿があった。
……何、もう、ホントにわけわかんないんだけど。



