家に帰ってから私は1人で反省会を開いて、暴れて、泣いて。
志葉から何件かメッセージと電話がきていたけれど、一方的に決めつけていい加減な言葉を投げかけてしまった手前何を話せばいいかわからなくて全部気づかないふりをした。
好きな人と喧嘩をするのって、思ってた200倍つらい。
わあぁ、明日学校行きたくないなぁ。
志葉に合わせる顔がない。超気まずい。
───って、まさか次の日タイミング良く熱が出るなんて思って、昨日の私は予想していなかったわけで。
「ゆらのー、お母さん仕事行くからね。大人しく寝てなさいよ」
「んー…」
熱で意識が朦朧とする。食欲もあんまりない。
志葉に会わずにすむことは運が良かったけれど、熱に身体が侵されている感覚は正直しんどい。
ガチャ……と小さく玄関の扉が開く音がした。お母さんが仕事に行ったらしい。
志葉に返信しないまま今日になっちゃった。
心配してくれてるかなぁ。
…それとも姫宮さんと仲良くやってるのかなぁ。
'わがままで自分勝手でめんどくさい浅岡'は嫌われてしまったかな。
'笑顔が可愛くてふわふわ巻いた髪の毛が良く似合う姫宮さん'のこと好きになっちゃうかな。
志葉は私のことが好きだ。けど、『志葉も男だしね』と、お花畑くんが要らない一言を言ったからこんなに気にしているんだ。
やっぱり全部お花畑くんのせいにしちゃおうかな。
私の熱も、志葉の喧嘩したのも、そうだ。
全部お花畑くんのせいにーーー……いやいや、そんなのサイテーだから私。
1人残された家で、私はそんなことを考えながら落ちてくる瞼に身を委ね、二度眠りについた。



