志葉はやっぱり分かりやすくて、何より真っ直ぐだ。
可愛いのは志葉のほう。まあこれは本人に言うと「嬉しくない」と言って拗ねるから言わないけど。
「手」
「ん?うん」
「これ、今日絶対離しちゃダメね。あとお面も買お」
「お面?屋台でいっぱい食べたいし邪魔じゃん。要らないよ」
「顔隠ししないと。ほら、芸能人もやってるし」
「私は一般じ、」
「そうだけど、可愛いから声かけられても困るわけ。わかる?」
浴衣で歩きづらい私の歩幅に合わせて歩いてくれる志葉。繋いだ手から伝う温度が温かい。
志葉は照れると身体中に熱が回るタイプ。だから手を繋ぐと絶対あったかいし、キスをする時の唇も熱い。
……って私、だんだん志葉のことマスターしてきてるかも。
「志葉」
「ん」
「志葉もかっこいーよ。浴衣、大人っぽいね」
「…お似合いだろ、浅岡と」
「自分で言うの?それ」
そう言うと、志葉は「うるせー」って笑った。
ああ、それ、私が好きな顔だ。
志葉の口の悪ささえもだんだん愛おしくなってくる。もうとっくに私は重症かもしれない。
病名はーー、…志葉萌え萌え症候群、とかかな。
…ちょっとダサいか、考えておこう。