「……う、」

「ねえどっち」

「…どっちだと思う」

「好き」

「…、じゃあ、そうかも」

「なにその曖昧な感じ。ムカつく」




曖昧って…自分が一番最初にした告白を忘れたのか志葉は。

『多分、好きになったかも』とか言ってたくせに。
全然'かも'じゃなくて私のこと大好きだったくせに。




「浅岡」



志葉と歩く帰り道。
近隣の中学校のグラウンドが覗ける近道を歩いている途中で、ふと彼は足を止めた。



「…志葉」



釣られて私も立ち止まる。
隣にいたはずの志葉が、私の進行方向を遮るように正面に立った。



テスト最終日は学校が午前中で終わりだから、外はまだまだ明るい。

グラウンドと道を分けるように緑のフェンスがずらりと並べられている。フェンス越しに見えた、中学校の校舎に取り付けられている大きな時計は12時半を刺そうとしていた。


お昼の時間だからか、グラウンドに中学生の姿は見えない。
この近道を通る人も、私と志葉以外に見当たらなかった。