わかりきったことだけを、






見間違いだったかもしれない。

角から飛び出してきた見知らぬ女の子が志葉にぶつかって、よろけた彼女を志葉が受け止めたとか、そういうのかもしれない。



けれど、そう考えたくても考えられなかったのは、彼女が志葉に腕を絡ませていたからだ。

志葉もそれを引きはがそうとはせず、腕を組んだ2人の男女は暗闇の中に消えていく。

私がずっと見ていたことなんて志葉は知らない。



「………ばー、か」



好きだなんだと言っていたくせに、しっかり彼女がいたなんて。

触れ合うのは恋人同士じゃないとダメなんだよ。
だから私は志葉とおかしな関係になったのに、志葉はそうやって誰にでも触らせていたの?



私にとっての普通は、ずっとずっと志葉にとっては普通じゃなかったのかな。
志葉にとっての普通に、'変人の浅岡'の考えは邪魔だったのかな。