「――で?なんで俺?」
翌日。志葉の部屋でテーブルを囲み、教科書を広げた私たちに彼――羽瀬くんは言った。
「お前が一番英語できるから」
「いや俺年下だし…」
「関係ない。できるだろ」
羽瀬くんは凄い嫌そうな顔をしている。面倒なお願いをしていることは承知だ。
だけどやっぱり、羽瀬くん以外には考えられなかったのだ。
「浅岡の留年がかかってる」
「え、そのレベルのバカだったの浅岡さんって」
「そのレベルのバカだから京也にお願いしてる。俺が数学教えるから、英語はお前に任せる」
「ええ」
「おねがい羽瀬くん。留年したくない、志葉と3年生になりたい、卒業もしたいし、ホント、マジで」
「いや、えー、もー…わかったよ…」
渋々ながらに頷いてくれた羽瀬くん。
「京也におねがいするか」と志葉が提案した時は(え…)と思ったけれど、今となっては本当にもう感謝しかない。
羽瀬くんが昨日取り急ぎで書いてくれた関係代名詞の説明。あれがとにかくわかりやすかった。
理解が追い付いていない他の文法も羽瀬くんの協力があればできるようになる気がしたのだ。
意地でも赤点なんか取らない。
絶対にみんなと3年生になるんだ。



