わかりきったことだけを、






ぽん、と頭の上にのせられた手。優しくなでられ、胸の奥がぎゅっとなる。



「京也になんか言われた?」

「えっ」

「やっぱりかぁ。あいつホント、俺のこと持ちあげすぎなんだよなぁ」

「志葉、」

「バカな浅岡も変人な浅岡も見てて可愛いから好き。無理して頑張ろうとしないで。俺はどんな浅岡でも好きだから、ホント」



志葉には全部お見通しみたいだ。

何も言葉に出していないのに、私が感じていた不安は志葉の言葉で全部どこかに行ってしまった。



ずるいね、志葉は。



志葉智咲の沼賀どんどん深くなっていく。もう、きっと自力じゃ抜け出せない。

このまま溺れて、志葉とずっと一緒に居たいなぁ。


そんなことを簡単に夢見てしまうくらいに、私はもうずっとずっと志葉の虜。



「…志葉」

「ん」

「…すき」

「…おー、うん。俺も」

「うぁあー…もう、すき、ほんと」



むくりと身体を起こして志葉の方に椅子ごと寄せる。「え、浅岡、」と、頬をほんのり赤く染めた志葉が驚いたように声をあげた。


ガタ…と椅子が小さく音を立てた。