「…先生に聞いてくるね」
休憩と気分転換を兼ねて、私は今教科書とノートをもって席を立った。「いってらっしゃい」という志葉に頷いて教室を出る。
もうあっという間に2月だ。
冬の学校は寒すぎる。外には雪が積もっているし、2月と言えど春はまだまだ先だなぁとそんなことを思った。
冷え切った廊下を渡り、職員室の目の前に位置する英語科準備室の扉をノックして中に入る。
「失礼しま、………した」
「あら、浅岡さん良いのよ。どうして帰ろうとするの」
「え、いや、先着がいるみたいなので」
扉を開けると、そこにはすでに先客がいた。
英語科の先生はおっとりしたおばあちゃん先生だ。丸い眼鏡をかけていて、「編み物」「読書」が良く似合う、そんな雰囲気。
先生の向かいに座っていた男の子と目が合う。反射的にぺこりと頭を下げると、彼もつられて同じように頭を下げてくれた。
綺麗な顔をしている。志葉ほどではないけれど、彼もなかなかモテそうだなぁ、と初見でそんなことを思った。
「浅岡さんは質問かしら」
「あ、はい。けど先着が」
「問題ないわよ。あなたも彼の隣に座って。一緒にやりましょう」



