「浸ってたいけどさ、浅岡ちゃんたち置いてきたんだよね」

「うん、だから早く戻――、」



《――あ。こちら浅岡と志葉。集合時間に合流できればオッケーです。では》




ツー…ツー…と、通話終了を知らせる音が鳴った。




「……は?」



通話時間は10分35秒と記されている。

ずっとつながったままだったらしい電話。会話の中身をホテルに帰ってから散々いじられたことについては言うまでもないだろう。

























「幸せになってよかった。盗聴してるみたいで少し罪悪感あったけど」

「こっちの声ミュートしてたし邪魔してないから大丈夫、多分」

「そうかな」

「そうだよ」

「時に志葉くん」

「なにかな浅岡さん」

「修学旅行中にデートができるなんて最高だね」

「奇遇。俺もそう思う」

「手つないだら怒る?」

「…怒んない」

「ふ。志葉、ツンデレだ」

「いや違うだろ。いみわかんねー」