わかりきったことだけを、





ホント、少女漫画かよって思う。

自分は'クズ'になって、あたしはいじめられなくなって…って、なにそれ。


洸太の正義はおかしい。おかしいよ、ホント。


ーーだけど、洸太の正義を無駄にするわけにはいかなかった。


あたしはその日から洸太のことを名前で呼ぶのをやめた。必用以上に喋るのもやめた。



高校生になって、洸太は'遊び人'としてすぐに有名になった。

マナちゃんはいない。あの時いろんな噂をしていた人たちもいないのに、洸太は変わらなかった。



誰にでも優しくするのはラクだから。


――「遊び人として名前が知られていれば、体裁なんて下がるだけ。期待もされないし、誠実な人間でいるよりもめごとが少なくてラクだよ、姫宮」



高校に入ってすぐの時、彼は言っていた。



あーあ。昔の洸太はもう死んじゃったのかな。
「弥生」って、もう呼ばれることないのかな。



そう思ったら、あたしも洸太の教え通りにしていた方がラクなのかな。




――誠実な人間でいるよりもめごとが少なくてラクだよ、




​─────ねえ、それって本当に?