― side 姫宮 ―
えーん…高校生にもなって迷子なんて最悪だ。
トイレがしたかっただけなのに。ホント、テーマパークのトイレ分かりにくすぎる。
ただでさえ方向音痴を極めているのに、あんな分かりにくいところに設置しないでほしいとこころから思う。
せっかくの修学旅行なのに。志葉くんにもゆらのちゃんにも迷惑かけてしまった。あとで謝らないとなぁ…。
「電話はこのまま」と言われたので繋いだままにしているけれど、ゆらのちゃんたちからの声はしない。
怒ったような花畑───洸太に言われた通り、一番近くにあったベンチに座る。
「洸太…、」
彼の下の名前を口にするのはいつぶりだろう。少なくとも、高校生になってからは一度も呼んでいない。
花畑 洸太。
中学生の時まで仲が良かった幼馴染。
中学生の時からあんまり話してくれなくなった幼馴染。
──誰よりもかっこよくて、嘘つきな、幼馴染。



