わかりきったことだけを、






《あと、なんか小さい滝みたいなのもある…》

「ええ?」

《なんかね、白い壁があって…》




小さい滝が近くにあって、白い壁で、どうやらその近くにポップコーンを打っている場所がある。

…いや、分かるわけがない。
ホント、どこまで行っちゃったの弥生ちゃん。



「志葉わかりそう?」

「…や、全然」

「とりあえず電話はこのまま───」


――繋げておいて、


そう、言おうとした時だった。




「おい方向音痴」


私のスマホに向かってそう吐いたのは、他でもないお花畑くんだ。

志葉も私も、突然のことに言葉が出なかった。スピーカー越しに《え…?》と、同じように驚く弥生ちゃんの声がした。




「多分そこ、近くにベンチあるだろ。そこに座ってろ」

《ベンチ…あ、っある!》

「…今行くから待ってろ弥生」



お花畑くんは、私と志葉に向かって「ごめん」と呟くと走り出した。



まさか、この曖昧な情報で弥生ちゃんのいる場所が分かったのだろうか。お花畑くんはこのテーマパークのマニアなのか、そうなのか。



繋がったままのスピーカー越しに、「洸太(こうた)……、」と、お花畑くんの名前を呼ぶ弱弱しい声が聞こえた。