わかりきったことだけを、






食べ歩きをしながら古風な街並みを歩いていると、すれ違いざまに他クラスの女の子が「うわ、」とわざとらしく声を洩らしたのだった。



「2組の姫宮、また人の彼氏取ろうとしてない?」
「今度は志葉くん狙い?浅岡さんには勝てないからやめときなよ〜」
「まだそんなキショいことしてるんだ。ホント性悪」



なんだそれ。
そっちが性悪じゃないか、女の子たちよ。

姫宮さんは何も聞こえなかったかのようにソフトクリームを食べながら「おいしいね!」と笑う。


絶対聞こえてるのに。
絶対、嫌な気持ちになってるはずなのに。


姫宮さんと私は友達と呼べるほどまだ仲良くない。
けれど、姫宮さんは思ったより悪い人じゃない。


この時の私はまだ その日の夜に聞く姫宮さんの事情を知らなかったけれど、それでもあからさまな悪意を放っておくことは出来なかった。
どうやら、それは志葉も同じだったようだ。



「おい、」
「ちょっと、」

「あー、ダメだよそんなこと言っちゃ。可愛くなくなっちゃうよ」





けれど、志葉と私の声に被せるようにそういったのはお花畑くんだった。