わかりきったことだけを、



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――




「志葉、寝るの?」

「んー…そうしようとしてたけど、なに?寂しい?」

「違う」

「なんだ、残念」

「おやすみ」

「ツンデレ?」

「おやすみ」

「ふ。うん、おやすみ」



腕を組みながら目を閉じる志葉とそんな会話をする。

せっかく姫宮さんに代わってもらったのに寝ちゃうなら意味ないじゃん…と思ったけれど、睡眠を妨げてまで志葉に話したいことがあったわけではないから辞めておいた。



修学旅行の行き先は関西方面になっている。
大阪や京都には行ったことがなかったので、ひそかに楽しみにしていたりもするのだ。


志葉と付き合い始めてもうすぐ半年になるけれど、お互いの家にはいくもののお泊りデートや日を跨ぐ遠出はしたことがなかった。高校生という身分なので、旅行をするお金がそう簡単に貯まらないのも悲しい事実。

学校行事であるとはいえ、2泊3日、ずっと志葉といられるることは素直に喜ばしいことだった。




「ゆらのちゃん」



あっという間に夢の中へと旅立った志葉を横目にスマホを眺めていると、前の席に座っていた姫宮さんがひょっこり顔をのぞかせた。

ポッキーを差し出し、「ゆらのちゃんもどうぞ」と言って微笑んで居る。



「あ、ありがとう」

「もー…志葉くん寝るならやっぱあたしが隣になりたかった。花畑も寝そうだしさぁ、つまんないったらありゃしないよね」

「それは確かに」



お花畑くんもなのか。男の子って乗り物に乗るとすぐ寝ちゃう習性とかあるのかな。

いや、偏見が過ぎるかそれは。