バイバイ、大地くん。


「わかりました」

 ――……?

「君の望みを。叶えます」

 大地くんに手をつかまれる。

 大きく、骨ばった手。
 ずっと触れてみたかった、触れて欲しかった手。

 躊躇いなく歩き進んでいく大地くんに、引っ張られていく。

「え、どこ行くの」

 いきなり強引すぎる。

「二人きりになれる場所です」

 ……っ!?

「完全なる密室で。一度入れば、暫くは外から誰も入って来られません。こちらからも逃げるのは、困難極まりないですが」

 な……なに?
 ヤバすぎ。どんな危ない部屋?

「離し、て」

 ……力、強い。

「振り払えませんか」
「無理に決まってるでしょ。どんなけ握力あんの」
「本気を出せば君の骨くらいは砕けるかもしれませんね」
「……っ」

 これがオトナの――オトコのチカラ。