やってきたのは、水族館。

 さっきから、目を合わせてくれない。
 せっかく大地くんのために上から下まで、なんなら服の中までオシャレしてきたのに興味なさそう。

 ほんと、どうして来てくれたんだろう。

 これから水族館まわって。食事して。
 できれば朝まで一緒にいたいと考えているわけだが、大地くんには門限がある。
 よって、解散は、どれだけ遅くても20時くらいになるのかなあ。よくわからないけど。

「ねえ。あれ、おもしろい顔してない?」

 水槽の魚を指差す。

「そうっすか」

 口数、少ないなあ。退屈そう。

 仕方ないから一回だけ付き合ってあげるって感じ?
 妹とか親戚の子のお世話するみたいな感覚?

 少しも楽しそうにしてくれないのは、へこむ。だけど今は、それでもいいよ。やっとこうして会えたんだ。
 絶対に仲良くなってやる。

「魚、すきじゃなかった?」
「好きですよ。食うのは」

 鮮やかな色彩の魚たちを目の前にして食べること考えないでよ。
 でも大地くんは魚が好きって情報をゲットできてしまったな。
 メールならそれを知るために何日かかるか……!