「……え?」 「届かないんだろ、どうせ」 あげたばかりのファスナーをつまみ、数センチおろす。 「っ、な……」 煽っておいて、なに慌ててんだか。 「このくらい下げておけば。あとは自分でできるか」 できるよな。 「……まだ」 「じゃあ。このくらい?」 「まだ」 ゆっくりファスナーをおろし続けると、美香の肩が、ビクッと震えた。 「なに感じてんだよ」 「だって」 「だって?」 「大地くんに脱がされてるって、思うと。……嬉しい」 ――――無理