「お? その顔はなんかあったの?」
「……な、なにも!? 全然平凡だったよ! それはそれは話すことがないくらいに!」
「本当に?」
翠が眉を上下に動かして視線を送ってくるけど、その質問は回答を控えさせてもらおう……。
だって、またこうして翠と再会出来たことが本当に嬉しい。
だから、あんなこと思い出したくない。
私は明るく元気な子!と言い聞かせてここへ来た。
……要は全て封印したのだ。
「そう? ならいーんだけど……さ?」
「大丈夫大丈夫! ささっ、私のこのメガチキンカツサンドもお食べ!」
「……589キロカロリーもあるじゃん。わたしを裏切り者にするつもり?」
……ごめん翠。
翠が転校してしまったあと、何が起きたかなんて話せるはずもないんだ。



