「女子寮は割と緩いけど、男子寮は見張り番もあるみたいよ?」
「えっ!? それはマズいよ!」
「わたしもさすがに厳しすぎだとは思うけどねー」
いや、私にとってはそういう意味ではない!
真夜中のミッションが控えてる。
「なんでも男子寮の寮長が三年生の人なんだけど、“冷血寮長”って呼ばれてるらしくて、罰則の種類も豊富だとか」
どんな罰を用意していらっしゃるの?
なおのことバレたらただじゃ済まないだろうな……。
一体、どんな人なんだろう?
まだお目にかかったことはない。
「それより、わたしが転校したあと、大丈夫だった?」
「っ、」
フルーツサンドの包みを開きながら、翠がふとこっちを向いた。
私はおかず三種セットの卵焼きを落としそうになる。
当時、私は翠しか友達がいなかった。



