はいはい、虹くんをとったりなんかしませんから。


……と、その時。



「ヒエッ!!」



教室のドアから見事に顔を半分だけ覗かせる女子がこっちを見ている。


誰……?

地縛霊のウワサなど、未だに聞いたことないんだけど。


おいでおいで、と私に手招きしてきた。


私……?

自分を指さすと、地縛霊は静かに頷いた。


ホラーすぎでしょ。

怖気ずくものの、意を決した私は教室を出る。

そして、恐る恐る尋ねてみた。



「あの……私に何か用ですか?」


「あー、いきなりごめん。でも星七だよね? わたしのこと覚えてない?」



私の名前を口にしたショートヘアの地縛霊……ではなく彼女は、パッと顔を明るくさせた。


目元が涼しげな和風美人って感じのその子を、じーっと観察するように見る。


そして、ハッとした。