何度も何度も通った707号室へと続く階段を一気に駆け上がっていく。



──バンッ!



私はノックもせずに、まるで奇襲かと思う勢いだった。



「……にっ、虹くん!!」



窓の外を見ていた虹くんが振り返って、一瞬驚いた顔を向けた。



「た、ただいま……!」



ものすごい勢いで部屋に入ってきたくせに、なんて言ったらいいかわからなくて、出てきた言葉がそれだった。



「……ぷっ。早すぎだろ」



そう言ってこちらまで歩いてきた虹くんは、



「おかえり」



ポンと私の頭に手を乗せて微笑んだ。