「じゃあ、時々出入りしてる人がいるってウワサは……」


「俺以外出入り出来ないように鍵をつけていたんだ。ここは、母さんと広夢さんの思い出が詰まった部屋だからな」



あの鍵……お兄ちゃんが?



「ん……? 広夢さんって……お兄ちゃん、知ってるの……? 虹くんのお父さんのこと」



混乱する私をよそに、お兄ちゃんは語り出した。



「知ってるに決まってるだろ? 星七、お前がプールに落とされたあと、助けてくれた男子生徒の自宅まで母さんがお礼を伝えに行ったんだ。それが、天沢虹──キミのお父さんとの再会だったわけだ」



それは本当に偶然のことだったのかもしれない。


けど、私にはそれも奇跡のように思う。


当初、お兄ちゃんはまさかお母さんが浮気?と疑ったみたいだったけど……。