あの日、ドン底に突き落とされた私の世界は、今── 「だったら、ずっと見てきたからもう知ってるけど?」 「……うん。虹くんとは、ずっと同じ部屋で過ごしてきたもんね」 「そうじゃないよ、黒田」 「え……?」 ゆっくりと、虹くんがこちらへと足を進める。 「顔上げて?」 虹くんの手は、唖然とした私の頬にそっと触れて、優しく包み込んだ。 部屋を照らす月の光が、虹くんを鮮明に映した。