「呪いなんかじゃないでしょう?」



これだけは、どうしても伝えたいんだ。



「だってそれは呪いじゃなくて、魔法の間違えだよ、虹くん」


「……っ、」



真っ直ぐに、虹くんの驚いた瞳を見つめて、私は微笑んだ。



「私がかけられたのは虹くんの魔法だよ。勇気も、元気も、温かさも、全部虹くんがくれたものだから」



離れて暮らすことになるけれど、どうかそれを忘れないで。


そして、一緒に過ごしたあの部屋を私が出る時、きっと私は笑顔でいられる気がするんだよ。



──“この先も黒田が笑っていられますように”



星降る夜に、虹くんが願ってくれたように。