エスポワールとレーヴの間に建てられた『塔の上の部屋』。



「……虹くん、あの部屋、行ってみない?」


「……お前正気か?」



空へと繋がっているほど高い塔を見上げて頷いた。



「翠から聞いたの。あそこは昔、誰かを閉じ込めるために使っていた部屋だ……って」


「閉じ込める?」


「あくまでもそれはウワサだけど、行ってみる価値はあると思う……!」



寮生の誰ひとり近づこうとはしない部屋。


時々、出入りされている気配があるとは聞いたけど、それだって本当かわからない。



「黒田がそこまで言うなら行ってみるか」


「うん!」



よし……虹くんと意見が一致した。


汗ばんだ額を拭って、塔へと歩き出す。