「うん。深恵くんって、私の中の要注意人物だったんだよね。私のこと捕まえて、虹につきまとうなって釘さしてきて」



誰よりも先回りして、虹くんの盾になろうとして。



「けど、私に向けられていた深恵くんの敵意も、全部虹くんを傷つけようとするものから守りたかったからって、今ならわかるよ」


「……アイツ、いつも俺のことばっかりだった」



今も……と、深恵くんのことを思って呟いた声は、微かに震えていた。



「虹くんの痛みは虹くんのもので。私にも、深恵くんにも……それに、虹くんのお父さんにも……わからない。でも……」



目をいっぱいに開いたまま立ち尽くす虹くんの手に、私は自分の手をそっと重ねた。



「私にしてくれたように、虹くんの心を温かくしたいって思うんだ」


「……っ、」