虹くんを傷つけるものから、傷つけようとするものから。


こうやって、一番近くで見守ってきたんだね。


……でも、ひとつだけ。



「間違ってるよ、深恵くん」



不思議そうにこちらに振り返った深恵くんから目を逸らさずに、私は言った。



「だって、それは呪いじゃなくて──」



言いながら瞼に浮かんだのは、やっぱり虹くんの不器用な笑顔で。


息をすることすら忘れたように驚いた深恵くんは、



「……お前みたいな奴が、あの頃虹のそばにいたらよかったのに」



……と、表情を和らげて、泣きそうな顔で笑った。



「帰るか。今日のところはあんたを釈放してやるよ」



肩の力を抜いた私と深恵くんは、ふたりでゆっくり正門まで歩き出す。



「てか、あんたマジでどこに住んでんだよ?」


「えぇ……っ!? だ、だから前に説明させて頂きました通りでして……数日後には部屋に案内しますから!」


「ふぅん? んじゃ、そん時は勝負下着持ってった方がいい?」



……全くもって不要です。