「越えようなんて思ってないよ。ただ、そばにいたいって……いさせてほしいって思う」



虹くんがそう望んでくれたら。


私はその手をとりたいって思うんだよ。



「あんたも、怖いと思ったか?」


「怖い……?」


「虹の呪いがあるんじゃねぇかって……あんたは、それを信じる?」



真剣な眼差しを向けて問いかけたあと、深恵くんは壁から背中を離した。



「まぁ、それがホントにあったとしたら、俺は喜んで虹の呪いにかかるよー?」



いつものようにヘラっと笑った。


……そっか。

この人は、いつもそうやって、虹くんを守ってきたんだ。