呼吸が止まったように驚いた深恵くんから、私は目を逸らしたりなんかしない。
例えもっと責められようとも、深恵くんにだってぶつかっていくよ。
「わりぃ……言いすぎた」
壁から手を離して、ポツリともらした深恵くんの声が空へと溶けていく。
「虹の様子、今日一日ずっとおかしかった。そんで俺、ほっとけなくて。あんたと関係あんじゃねぇかって勘ぐって……」
切なげに眉を寄せて答えた。
深恵くんからは、虹くんのことを心底心配していることが伝わってくる。
わかってる。
虹くんのことが大好きだから、私にこうやって怒りを向けるのだ。
虹くんが心配で心配でたまらないから。



