来た道を全速力で走りながら私は思う。
お母さんとの距離は私が作った物だ。
逃げて、逃げて、どこまでも逃げ続けて。
自分の殻に閉じこもって、情けない自分の姿を見られたくない一心で。
それでも、お母さんの愛はいつだって私へ真っ直ぐに注がれていた。
逃げずにお母さんの目を見つめれば、こんなにも温かい母の愛は変わらずにあるのだと気づいた。
ホントはもっと話したいことも伝えたいことも山ほどあった。
……でも今は、虹くんを追いかけている。
そうしたい気持ちが私を突き動かす。
虹くんをひとりになんかしたくないから。
エスポワールへと続く十字路まで走ってくると、ポツリと佇む虹くんの姿を見つけた。
「……虹くん!」



