「そう……浴衣のこと。会った時に、虹くんが何か言った気がしたけど、周りの声で聞こえなくて……」 「聞こえなかったのかよ……」 ボソッと呟いて、少し考える素振りを見せる。 眉根を寄せて「ったく……」と、困ったみたいな虹くんと視線が交差した。 その直後、私の頭の後ろに手が回る。 そして、強引に私を引き寄せると、 「──そういうお前らしいところが可愛いって言ったの」 ……と、虹くんは息を吐くように耳元で囁いた。