我慢しきれなかったみたいにクスッと虹くんが笑みをこぼした。

ほら……またそうやって。

私の心を動かしていく。



「……私、もっと頑張るから」



何を頑張ればいいか明確にはわからないけど、逃げることはもうしない。

過去を封印して無理に笑うことも。


そしていつの日にか、変われた私の姿でお母さんに会いたい。


涙を拭って、そう思わせてくれた虹くんに視線を注ぐと、あの時出会った男の子の姿が蘇った。


無愛想だけど優しかった彼。

どうしてか、虹くんと重なったんだ。



「不思議だな……虹くんと一緒にいると、あの男の子のことを思い出すから」



口からこぼれた私の声に、虹くんの瞳が一瞬、動揺するかのように揺れた。