虹くんと、この部屋で……。

心の中でそっと繰り返せば、途端に目頭が熱くなった。



「……そんなこと……言ってくれる人なんて、現れるわけないと思ってた……っ」



震える唇を強く噛み締めたけど、抑えきれなかった。

次の瞬間、私は顔をくしゃくしゃにして泣いていた。


虹くんは、「はいはい」と、まるで子供をあやすように私の頭を胸に押しつけて優しく撫でる。


シャツ越しにも虹くんの体温が伝わってきて、それがあまりにも温かくて、もっと涙が溢れてきた。



「……虹くんズルいよ。やっぱり、優しいじゃん……全然、塩攻撃してこないんだもん……っ」


「……塩攻撃ってなんだよ。ただ思ったこと言っただけだろ? お前の言葉借りるなら、心の住人が勝手に──って奴」