「お前はもうやり直せてるでしょ?」


「……え?」



意思のこもった虹くんの声に、瞬きすら忘れて見つめ返した。



「そう思ってこのエスポワールにお前は来た。その時点で、もうやり直せてるだろ?」



フッと表情を和らげた虹くんから目が離せなくなる。



「でも──」



言いながら、静かに伸びてきた虹くんの手は、私の頬にそっと触れた。


微動だに出来ずにいると、ゆっくりと顔を持ち上げられる。


ピクリと反応すれば、虹くんが瞳を緩ませた。



「それでもまだやり直せてないってお前が言うなら、何回だってやり直せばいい」



虹くんの優しい色をした瞳が、真っ直ぐに私を映す。



「──俺と、この部屋で」



与えてくれたその言葉に、私の世界が煌めき始める予感がした。