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「──だから、私はプールが苦手なの。柄じゃないけど……思い出して、やっぱりまた怖くなる……」



誰にも話したことのない過去を洗いざらい打ち明けると、虹くんが傷ついたような表情で私へ視線を注いだ。



「今も昔も、どうしてイジメってなくならないんだろうね」



きっと今も昔も関係ないのかな。

例え何もしていなくても、何かをしていようとも。

人の心に住んでいる悪魔は顔を出す。



「やり直したくてここに来たのに、これじゃ全然ダメ……」



自嘲気味にこぼすと、痛くて痛くて、胸がちぎれそうだった。



「ダメなんかじゃないだろ」



真剣味を帯びた虹くんの声が、不意に私へと向けられた。